サマースノー1.5話

【空中庭園 入口】

「あれ? さん、こんなところでなにしてるんですか?」
「ひなたくん! ちょうど良いところにっ! あ、と……そちらは……」
「きちんと会話するのは初めてかの。UNDEADのリーダーを務めておる。朔間零じゃ」
「えっと、お、おほん。……ご丁寧にありがとうございます、朔間さん。コズミックプロダクション所属、DryaDのと申します。どうぞ、よろしくお願いいたしますね」
「ふむ。ひなたくんから聞いていた人物像とはちと違っておるのう。それも七種くんの『プロデュース』かや?」
「…………。ひ、ひなたくん、朔間さんになに言ったの!?(小声)」
「なにって、別に変なことは言ってないですよ? 俺と一緒で甘いものが好きで、体動かすのが好きで、あと副所長が大好き!」
「ひとつも間違ってはいないけどっ! 最後のはちょっとなんか、ダメな気がしますっ! あとあと、一応ミステリアスお姉さんキャラで売っていくことになってるから! 事務所外の人にプライベート明かしちゃだめっ!」
「あれ、それちゃんと気にしてたんですか? それにまあ、アイドルとプロデューサーが信頼し合ってるのはいいことじゃないですか!」
「そうだけどそうじゃないよお〜!」
「まあまあ。そんなことより、なんで入口でうろうろしてたんですか? 落し物でもしちゃったとか?」
「ううん……。ほら、前にも言ったでしょ? この空中庭園で、足を掴まれて水の中に引きずり込まれそうになったって話。リフレッシュに寄ったんだけど、そのこと思い出しちゃうと、ちょっと入りづらくって……」
「ああ、それならちょうど、朔間さんとその話してたんですよ。ね?」
「その『妖怪』が、我輩の旧友であるらしくてのう。話を聞きにきたんじゃよ」
「ひなたくんのお話では、たしか流星隊の深海さんでしたね?……本当にあの方なんですか?」
「夢ノ咲と関わりの浅いおぬしが驚くのも無理なきことじゃが、まず間違いはないじゃろう。今回はいつにも増して奇行が際立っておるゆえ、本人に話を聞こうとここまで来たのじゃ。不安に思うのなら、一緒に来るかえ?」
「え、よろしいんですか?」
「なに、構わぬよ。じゃが、念のため我輩の背からは出ぬことじゃ。また足を掴まれたくはないじゃろう?」
「それは……はい……」
さんって、意外と怖いのダメなんですね〜♪」
「誰だって、知らない人に急に足を掴まれたら怖いよっ!」
「ほらほら、また『ミステリアスお姉さんキャラ』脱げちゃってますよ」
「ああっ! さ、七種さん、近くにいないよねっ?」
「バレるとやばいんですか?」
「……黙ってニコニコしてるときの七種さん、わかるでしょ?」
「あ〜……。あれは怖いですね……」
「でしょ~!?」
「まあでも、副所長ってだいたいなんでも知ってるし、ここでコソコソしたところでって感じじゃないですか?」
「たしかに……。はあ~っ、また演技レッスン延長コースだあ!」

Up:2020.12.19
photo by Antique public domain images
material by 木立ひより
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